ハンドメイドで家具とモダン神棚を製作している小さな工房です。 家具には、正確さや効率だけでは生まれない魅力があると思っています。
まっすぐに切る。
均一に削る。
同じ形を何百個もつくる。
それは機械がもっとも得意とすることです。
大量生産された家具は、寸分の狂いもなく整い、どれも同じ姿をしています。
それはそれで、美しい。
けれど私たちが目指しているのは、
ほんのわずかな“ゆらぎ”を感じる家具です。
だんだん細くしていく。
角をほんの少し丸める。
触れたときにやわらかく感じる曲線をつくる。
こうした微妙な加減は、手でなければ生まれません。
その日の木の状態を見ながら、繊維の流れを読みながら、
道具の当て方を変えていく。
同じ寸法でも、同じ形にはならない。
無垢材という生きた素材に向き合いながら、ひとつずつ仕上げていく。
そのわずかな“ゆれ”が、空間に置いたときの印象をやわらかくします。
主張しすぎない。
けれど、なぜか目にとまる。
理屈では説明しきれないけれど、
「何か良いね」と感じてもらえる存在。
私たちは、そんな家具をつくりたいと考えています。
丸太から始まるものづくり
丸太から始まるものづくり
私たちの家具づくりは、完成された板材から始まりません。
丸太を選び、製材し、木目の流れを見ながら木取りを決めます。
どの部分を棚板にするか。
どこを避け、どこを活かすか。
木は一本ごとに個性があります。
同じ樹種でも、同じ表情はありません。
この工程を大切にしているのは、
完成後10年、20年と安定して使っていただくためです。

天然乾燥へのこだわり
無垢材は、水分管理が最も重要です。
私たちは時間をかけて天然乾燥を行い、その後人工乾燥をします
含水率8〜12%を目安に安定した材のみを使用しています。
現代の住環境では空調が進み、天然乾燥だけでは「動き」に対応できず
どうしても人工乾燥せざるえません
急激な人工乾燥は、内部応力が残ることがあり木のしなやかさを損なう恐れがありますが、天乾、人乾、養生という時間をかけてゆっくりと乾燥させた材は、
反りや割れのリスクが少なく、家具をより長く使えます。

手仕事が生む“ゆれ”のあるフォルム
機械は、まっすぐに切ることが得意です。
均一に削り、同じ形を量産することも得意です。
けれど、ほんのわずかな曲線や、
触れたときの柔らかさを生む微妙な削りは、
手でなければできません。
直線の中に、ほんの少しの丸みを持たせる。
均一ではない、けれど乱れない。
その“ゆれ”が、空間に置いたときのやわらかな印象をつくります。
モダン神棚への想い
神棚もまた、家具のひとつだと考えています。
祈りの場でありながら、日々の暮らしの中に自然に溶け込むもの。
無垢材の持つあたたかさと、手仕事ならではの柔らかなフォルム。
直線の中にわずかな曲線を忍ばせ、光の当たり方で表情が変わるように仕上げる。
整いすぎない、けれど乱れない。
静かにそこにあり、
空間の空気を少しだけ澄ませる存在。
それが、私たちの考えるモダン神棚です
■ 素材へのこだわり
一般的な家具屋さんの場合、製材された木材を購入してそれを家具へと加工します。
当然さまざまな丸太から製材を経て製品「板」になります。
丸太は生き物、同じ丸太は1本もありません
同じ材種でも育つ場所などで色合い、クセ等が違います
そのため、特に大きな家具を作る際は
同じ丸太から取った木材を使用しなければ、
パーツ毎に微妙に風合いが変わってしまうことに。
着色などで加工してしまえば違和感を隠すことはできますが、
イオリスペースでは木の風合いを100%活かすため 原則 着色はしません。
いろんな理由がありますが
丸太から作る最大の理由は「楽しいから、面白いから」です
どんなに熟練した材木業者でも丸太の中身が100%わかる人はいません
ときに製材する場でへたり込んでしまうこともあり、(中がボロボロ、、)
また逆も時にはあります そんな何が出るかわからないのが
製材で、
毎回ドキドキしながら曳いています。
しかし丸太ごと買う場合、一番の問題は木に含まれる水分量。
天然乾燥から人工乾燥 そして養生をかねた天然乾燥と
家具の材料として使用できるようになるまで、薄い板で約2年かかります
厚い板なら5~6年はざら。
そんな時間をかけて家具や神棚を作るのも「木が好き」だから
木が好きから始まった家具作りもまもなく40年
これからも本物の木の良さを伝えられる「家具&神棚」を
作っていきたいと思います
■ 素材紹介
イオリスペースで主に使用している素材は、 北海道・東北産の胡桃とシナ、クリ、そして北米産のウォールナットの無垢材。
同じフォルムの家具であっても、素材が異なるだけで表情ががらりと変わり
さまざまなインテリアにも調和できます。、
そのため 赤茶・白色・茶色・こげ茶 といった色味の異なるこれらの木を
イオリスペースでは使用しています。
● クルミ
イオリスペースで一番多く使う素材です。
狂いが少なく粘りがあり、中ぐらいの硬さ、そして温かい手触りが一番の魅力。
木にも温度があり、ざっくり言えば柔らかい木ほど温かく、硬い木ほど冷たく感じます。
具体的にはけやきやナラなどは冷たく、模型などでおなじみのバルサはとても温かく感じます。
機会があれば触って、一度お試しあれ!
クルミは硬すぎず柔らかすぎない中庸で、家具には最適です。
日本ではあまり馴染みがありませんがヨーロッパでは古くから高級材として家具に使われてきました。
クルミ科。落葉高木。高さ20mにもなる。
北海道、四国、九州に自生。樺太にも分布
年輪はやや不明瞭 気乾比重 0,53

● シナ
イオリスペースではクルミについで2番目に多い素材!
やや黄みを帯びた淡い茶色、ライトな印象がありパイン系の木と
よく調和します。
カントリーテイストのインテリアにもグッドです。
あまり馴染がないと思われますが、建築ではシナベニヤという内装材で多用されています 白くて明るいカラー、木目も目立たず「木」を主張しないため
さまざまなインテリアによく調和します
もちろん白い壁にもしっくり溶け込みます シナノキ科。
落葉高木。北海道から九州までの各地で見られる。
高さ18m。直径60㎝。。木理は精。比重は0.50。
欧米ではリンデンと呼ばれ、街路樹として親しまれている

● ブラックウォールナット
英語でクルミはウォールナット
クルミの仲間はヨーロッパにもあり
日本のクルミと色合いは似ています。
しかし日本でウォールナットといえばこの木のこと。
アメリカからカナダに分布
日本のクルミと同じクルミ科ですが、材色がかなり違い深みのある黒褐色
狂いも少なく家具、キャビネット材として最高級といわれます
クルミ科。 比重は0.59、直径1m
軽いわりに強度と粘りがあり、
狂いも少ない。材は堅硬、強度大、衝撃にも強く、加工性は極めて良好

● クリ
非常に耐候性が強く、昔は線路の枕木に使われた
さらに昔は割裂性がいいため、薄くへぎ (板にする)屋根材として使われたほど
硬さは中庸 現在でも丸太の蓄積量がそこそこあり
高級住宅には土台、框などに使われている 心材は褐色、辺材はやや褐色を帯びた灰白色。
気乾比重は0.44~0.60(平均値)直径は80cmぐらいまで。
心材の耐久性は極めて高く、日本産材中では最高といえます。

■ 加工の流れ(製材から加工まで)
1) 丸太の製材

2) 天然乾燥

3) 加工のようす

4) 棚のパーツを加工 粗削り

5) 棚のパーツを加工 粗削り2

6) 棚のパーツを加工 豆カンナで粗削り

7) 板のカンナかけ

8) よくつかう道具類

9) パーツ完成

私たちが大切にしていること
・効率よりも、時間をかけること
・均一さよりも、素材の個性を活かすこと
・流行よりも、長く使えること
家具は消耗品ではなく、
暮らしを支える道具だと考えています。
10年後、20年後に
「この家具でよかった」と思っていただけるものをつくる。
それが私たちの仕事です。
・素材情報について
、
ご希望があればサンプル材を送ることもできます
・設置方法のサポート など
ご不明点があれば、いつでもご相談ください。
小さな工房だからこそ、
一つひとつ丁寧に対応いたします。
創作家具工房イオリスペース 代表 辻 昌生
1989年創業。愛知県の山間地で無垢材のみを使用し、丸太から製材・天然乾燥を経て家具・モダン神棚を製作。
木工歴36年。本記事は実際の制作経験をもとに執筆しています。
詳しい工房の歩みと製作工程はこちら →